鹿児島に向かう途中、車の中で土砂降りにあった｡憂鬱な気分になる｡しかし、何とか天気は持ちこたえ、潜る時はそこそこの天気だった｡次の日には梅雨も明け、暑すぎる日差しがたまらなかった。
　台風や雨の後の海中はやや濁っていたが、それでも１５Ｍ以上は見えていた。
　ワイド系ではイシダイ、メジナ､ハマフエフキ、ヒメジ、ブダイなど、釣り人が見たら泣いて喜びそうな世界と壁につくソフトコーラル、広大なテーブルサンゴの群生などが見られた。マクロ系ではミヤケテグリやヒトスジギンポなどが見られた｡
　事件はみんながテーブルサンゴの群生のところで遊んでいる時に起きた。先の方に深くなっているところがあったので、私は１人、みんなが遊んでいる隙に急いで偵察に行った。なんちゃなさそう、そう思い、引き返そうとしたとき、コバンザメを背中に従えた大きなカメがむくりと起き上がり、こちらの様子をうかがっている｡サンゴのほうに行くようにそーっと追ってみたが、私の心は見透かされていたようである｡カメは向きを変え、悠然と立ち去ってしまった｡
　この後、ブーイングの嵐だったことは言うまでもない｡　（橋）